LEG6:8月14日(金)フレア→チェンマイ274.95km(うちSS 61.20km)

最終SSでまさかの波乱!!


この日SS一番スタートだった#7は途中、エンジンストップにより村人にクルマを押されて再スタート。 それでもSSトップタイムをマークした

いよいよアジアンラリーが感動のフィニッシュを迎えた。今日の行程はホテルから最終SS9へのリエゾン63.75kmとSS9の61.20km、最終のセレモニーゲートまでのリエゾン150.00kmの合計274.95kmだ。

毎年“アジアンラリーの最終SSには魔物が潜んでいる“と選手たちの間では冗談まじりに話されるが、今年もやはりその魔物は存在した。




一番の理解者、応援者である愛妻と勝ち取った総合優勝

昨日まで圧倒的な速さで総合2位との差を約17分つけていた#3 Nattaphol ANGRITTHANON (TOYOTA/Toyota・Vigo/T1D)には、よほどのミスがない限り勝利の女神が微笑むはずだった。しかし、SSフィニッシュのたった1km手前でフロントのナックルアームを破損、そのままリタイアへと追い込まれた。一方、このリタイアにより総合優勝を手にしたのは昨日まで総合2位だった新堀忠光選手(#15 Isuzu Bangchak Maxxis Team Thailand / Isuzu D-MAX)。「今までのアジアンラリーの中でも、1〜2番手スタートだと本当に難しいコース」というSS9をこのSS1番手スタートのチームメイト#7 Panwila KANKULTHORN (Isuzu Bangchak Maxxis Team Thailand/Isuzu・D-MAX/T1D)とともにワンツーフィニッシュした。

「終わった瞬間は、は〜、終わったぁって感じでした。草が2メートルくらいあったり、オンコースがわかりにくく二度と走りたくないくらい大変だったし、追い上げる3位との差はほんの5分ほどだったので、その差をつめられないように気を遣いながら、フロントデフの調子が悪いのもあって大事に走りました。それでも残り3kmでデフが壊れ、二駆になってのゴールでした」と新堀選手。最後の2kmに四駆でないと行けないようなコースがなかったことが不幸中の幸いだった。すると、ほっとする新堀選手のところにチーム員全員が優勝の知らせを持ってきた。新堀選手とトップとの差は16分41秒。これ以上の差がつけば新堀選手は優勝するという瞬間にはチーム員全員がカウントダウンで祝った。

「2006年の時は争って勝ったのですが、今回はラッキーが重なっての優勝で、正直実感がまだわかないんです。でも今回のアジアンラリーでは不得意とするマッディなコースでいいタイムがだせるようになったのが一番の収穫でした」と2001年から8回目の参戦、2度目の優勝。そして2006年からはタイの国内ラリーにフル参戦し、腕を磨いた努力が着実に実を結んだ。

昨日総合6位で終えた森川金也選手(#10 TEAM KYUSHU DANJI with GEOLANDAR / トヨタ・ランドクルーザー80)は「スリッピーで道幅が狭く苦労しました。一度はコース脇に落ちたのですが、タイのクルマに引き出してもらってタイムロスも少なかった。無事ゴールできました」とフィニッシュゲートを目の前に充実感を得た。結果はSS11位、総合ではひとつアップして5位でラリーを終えた。

シングル入賞を目標としていた“あきんど号”は一昨日の総合9位から、昨日で総合10位となっていた。「今日は、コース自体はそんなに大変じゃなかったけど、いつもの走りが出来なかった。何台かに抜かれて、それでも必死に走ったんですが何かがおかしかった。ゴールしてクルマを見たら、リーフがへたってバンプストッパーと下のすきまが1cmない状態だった」と山本則博選手(#12 AKINDO-GO with SUN・CHLORELLA / トヨタ・ランドクルーザー)。辻本隆志選手も「今日はコマがあわなくて途中で3度も補正値を変え、結局攻めのナビではなく、おっかけナビになってしまった」という。それでもSS9位、総合9位にアップした。「目標を達成することができて、ほんとにうれしい」と日本人選手からは握手攻め、SSゴールでは感動の涙もサービスしてくれた。

やはり総合で順位をひとつアップさせた勝間田祥司選手(# 18TEAM INNO JAPAN / トヨタ・ヴィーゴ)はSSを7位で終了。完走を目標として抑えた走りを続けていた結果、クルマの調子も良く、今日は攻めの走りができた。「いやあ、疲れました。何のトラブルもなくSSも終わり、特に話すようなトラブルは何もないんです。それより我々は3日目くらいからもう来年のことばかり考えています」と目標の完走を果たし、来年への計画で目を輝かせた。

総合でひとつ順位をあげた青木拓磨選手(#9takuma gp / いすゞ・D-MAX)は12位でラリーを終了、SSは8位でフィニッシュした。「今日はぬたぬたのところがあり、接地感を感じることもできないまま勝間田さんに抜かれ、トライアングルさんに抜かれ、我慢我慢のステージでした。結果として、今回ラリーに参加して病気が再発しなかったのはチームみんなが支えになってくれて、それで最後まで走りきれた」と青木選手。横浜ゴムが開発したMEDI-AIRというクッションは底付きがするとアラームが鳴り、走行中でもエアコントロールが出来る仕組みで、このクッションに加え、リエゾン中は小児麻痺用のリハビリ器具を改造して上半身を上からつってラリーを走った。「スタート2週間前まで寝たきりだった僕がこうして完走できたのは、怪我をしても目標をもって治すといいうのがかえって薬になったんだと思う。もちろんお医者さんの懸命な手術や協力してくれた皆のおかげなのですが、今回は自分の体との戦いでした。この夏の事は一生忘れません」。同行した家族をはじめチームメイト全員の笑顔はひとしおだった。

総合14位でアジアンラリーを終了した“トライアングルチーム”。総合でひとつ順位をあげ、SSは6番手と見違えるような走りを披露してくれた。本日ドライバーを務めた吉澤直樹選手(#21 TEAM TRYANGLE GEOLANDAR 2008 / 三菱パジェロ)は「ぬかるんでクルマが滑ってフェンダーがとれてしまったりもしましたが、路面の状況が違うのでギアを一段下げて走りました。コース的にも気持ち的にも10km地点をこえた辺りからは集中して走ることができました」と最終SSを本当に楽しんだ様子。伊藤芳朗選手も「今日はトライアングル的な走りではなく、攻めの走りでいきました。吉澤くんもいい意味でのっていたので、盛り上げるようなナビを心掛けた」とラリーを終えた達成感に加え、「抑える走りだけではなく、ラリーをしたという充実感も味わえた」と最終SSを振り返った。

総合15位の味戸厚二選手(#14 TEAM SINGHA AJ SPIRIT / 三菱・トライトン)は「昨日に輪をかけてガンガン走ることができました。路面はスリッピーなところも多かったのですが、10番手スタートでSS5位で終了でき、テクニカルなコースではあったけど落とすところは落として走りました」とのこと。クルマの調子が良くなっただけに、総合で順位をひとつあげ、さらにまだラリーを続けたいくらいの気持ちだ。

午後3時にタイ北部のチェンマイのランドマーク“ターペー門”で行われたフィニッシュゲートには多くの観光客も見学に訪れた。参加者たちは、たくさんの思い出を胸に刻みながら、サービススタッフや関係者に見守られながら一台づつフィニッシュゲートをくぐった。参加した人だけが得られる達成感や充実感、そして悔しさ。こうした思いを胸に、また参加者たちは来年、アジアンラリーで再会することになるのだろう。午後7時からはいよいよ表彰式が行われる。



PROVISIONAL RESULTS
SS9

FINAL OVERALL CLASSIFICATION
LEG 1-6
日本人チームのSS9結果
2位 #15 Isuzu Bangchak Maxxis Team Thailand 新堀忠光/Athikij SRIMONGKOL 1:25:43
5位 #14 TEAM SINGHA AJ SPIRIT 味戸厚二/根本道久 1:33:42
6位 #21 TEAM TRYANGLE GEOLANDAR 2008 伊藤芳朗/吉澤直樹 1:33:52
7位 #18 TEAM INNO JAPAN 勝間田祥司/込山喜憲 1:35:10
8位 #9 takuma gp 青木拓磨/青木孝次/山形昇 1:40:27
9位 #12 AKINDO-GO with SUN・CHLORELLA 山本則博/辻本隆志 1:41:11
11位 #10 TEAM KYUSHU DANJI with GEOLANDAR 森川金也/深野昌之 1:44:02
日本人チームのLEG1-6結果
1位 #15 Isuzu Bangchak Maxxis Team Thailand 新堀忠光/Athikij SRIMONGKOL  
5位 #10 TEAM KYUSHU DANJI with GEOLANDAR 森川金也/深野昌之  
9位 #12 AKINDO-GO with SUN・CHLORELLA 山本則博/辻本隆志  
11位 #18 TEAM INNO JAPAN 勝間田祥司/込山喜憲  
12位 #9 takuma gp 青木拓磨/青木孝次/山形昇  
14位 #21 TEAM TRYANGLE GEOLANDAR 2008 伊藤芳朗/吉澤直樹  
15位 #14 TEAM SINGHA AJ SPIRIT 味戸厚二/根本道久